環境地質学にもとづく日本のジオパーク論 : 島根県の「神西湖」を題材として(<連載特集>環境問題への挑戦(7))
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概要
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近年,地球規模の環境問題が顕在化しつつあり,応用地質学分野では市民に向けた持続可能性への注意喚起が社会的要請となっている.こうした社会的背景の中で,現在日本国内に活発化しているジオパーク計画は,市民の地球環境保全に関する問題意識を醸成する具体的取り組みとして有望である.日本のジオパーク候補地となる地質事象は,日本固有の自然の価値を象徴し,日本人の自然観を世界へ情報発信するものがふさわしい.日本の自然の特質は,コンパクトかつ繊細で人の暮らしと調和し,融合していることであり,本稿ではその一例として島根県の汽水湖である神西湖を紹介する.ジオパークは,価値ある自然現象を保全する一方で,観光資源として開発し利活用するという二つの相反する課題を孕んでおり,ジオパーク計画が成功するためには応用地質学に携わる者が環境地質学の視点に立ち主導的に参画することが不可欠である.
- 2009-02-10