発達障害のある子ども虐待事例の家族援助 : 子ども虐待の親に対する心理教育的介入について
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概要
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発達障害のある子ども虐待3事例(注意欠陥/多動性障害2例, 高機能広汎性発達障害1例)の親に対する心理教育的介入が行われた.この介入では子どもの問題行動の原因についての親の認識を変えること(問題の原因が子どもの気質や性格ではなく障害特性に起因した行動であること)に焦点を当てた.親が子どもの障害の特性について理解することにより親子関係は改善され,3事例とも虐待という問題はきわめて短期間で解消された.これらから以下の結論が得られた.親は子どもの障害について適切に理解しておらず,子どもを否定的に認知して問題を悪化させていた.発達障害のある子どもに対する虐待の事例では,子どもの問題行動を深刻化させている障害の特性を親に理解させるという介入が重要なポイントとなる.子どもの問題行動についての親の認知を変更させるという心理教育的アプローチは悪化した親子関係を改善させる.危機的状況でのこのような心理教育的介入は,親の虐待を改善させるための効果的な手法となり得る.