形容詞についたun-をめぐる考察
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概要
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周知のように、英語の接頭辞un-は形容詞に付いて形容詞(un-形容詞)を作るが、否定的な意味を持つ基体には付かないとされる。しかし、実際には例外が多く、また-able/-ed/-ingなど生産的な接尾辞が付いた形容詞には、その意味に関わらずun-を付けることができる。本稿では、Jespersen(1917,1942)、Zimmer(1964)、Allen(1978)、Cruse(1980)、Horn(2002,2005)、西川(2006)の分析を概観し、次の二点を主張するものである。(a)immaculate,unscathedなどの「汚れ・傷がない」ことを表un-形容詞は尺度上で肯定の極を占め、形態的に関連した反対語を持たない。(b)un-の機能はこれまで「反対関係」(contrary)とされてきたが、「矛盾関係」(contradictory)と考えた方が整合的である。むしろ、「矛盾関係」から「反対関係」へと語用論的に転換されると考えるべきである。