スポーツ参加行動における因果的連関モデルの検討 : 体育授業のスポーツ参加行動におよぼす因果的規定について
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概要
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本研究は、体育授業での経験内容とスポーツに対する態度さらにスポーツ実施度の因果的関連を明らかにするため、女子学生を対象に質問紙調査を実施し、因子分析およびパス解析を適用し分析を試みた。主要な結果は次のように要約される。(1) 現在のスポーツ好意度に直接影響力を及ぼすのは、高校期における体育に対する好き嫌いであり、次に中学校期であった。(2) 各時期における体育に対する好き嫌いは、前段階の影響を受け、次段階に影響を及ぼすといった重要な媒介要因である。(3) 体育授業での経験内容に使用した20の質問項目は、(1)他者因子、(2)運動能力差因子、(3)不安因子、(4)技術達成・勝敗志向因子、(5)身体的健康因子から構成され、スポーツに対する態度に関する12項目は、(1)積極的活動因子、(2)否定的活動因子、(3)消極的活動因子で構成されていた。(4) スポーツ実施度を低めるのは、授業内容では教師・友人からのマイナスの働きかけと運動能力差が配慮されない授業場面であり、スポーツに対する態度では消極的態度と否定的態度には、過度な技術達成・勝敗重視、運動能力差、失敗への不安、教師・友達の働きかけ、身体面への配慮が必要であり、ある程度積極的態度が生まれた者には、運動能力・目標面で技術・勝敗を重視する働きかけがよい。以上の結果で初期の目的はある程度達成されたとはいえ、今後の課題としてサンプルの拡大さらには男子学生との比較、授業内容以外の諸変数の導入などの問題が残る。
- 活水女子大学の論文