社会福祉援助技術論の位相 : ソーシャルワークとケアワークの関係を巡って
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概要
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「社会福祉士及び介護福祉士法」が2007年11月に改正された。これに伴い社会福祉士養成のカリキュラムの見直しも検討されている。本稿では社会福祉士養成の中核を占める社会福祉援助技術論の基礎的な課題である,(社会福祉援助=ソーシャルワークと介護=ケアワークーの関係)について検討を行った。その中心はこれまでの両者の関係についての主だった議論の整理と,今回の法改正の議論の中で,両者の関係整理がいかに行われたのかの検討である。その結果としては,法改正に向けた議論の中で,介護福祉士=介護に期待される12項目の役割の内,(4)施設・地域(在宅)を通じた汎用性のある能力,(5)心理的・社会的支援の重視,(7)他職種協働によるチームケア,(9)「個別ケア」の実践,(10)利用者・家族,チームに対するコミュニケーション能力や的確な記録・記述力,(11)関連領域の基本的な理解等が注目される。これらは従来,ソーシャルワークに求められる内容とされてきた。そして身体介護に収斂していたケアワーカーの役割が,ソーシャルワーカーとの重複へと変化したと理解できるからである。すなわち,「在り方に関する意見」が示したこれらの内容は,社会福祉士に求められる役割との共通性を示しているのは明らかとなった。