勝田守一道徳教育論の再考 : 個人の形成における自主的判断力の問題
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概要
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学校における道徳教育の基本を「自主的判断の能力を育てる」ことに置く勝田守一(1908-1969)の道徳教育論を、道徳的行為の主体となる個人の形成という視点から読み直す。シェリング研究にみる勝田の初発の問題関心は、人間の自由の問題、自由な行為の担い手となる個人の形成の問題に焦点づけられていた。その関心は戦後の道徳教育論にも一貫している。道徳教育に関する彼の「自主性」論は、子どもの内面性に関わる価値観の統制を斥け、精神の自由を護るという権利論的意義を持つ。「自主性」論には、<価値ある行為が自主的に選択されることにより道徳的行為となる>という論理があり、価値判断の「自主性」とその内容に関わる「方向性」とは内的連関を持つものとされている。勝田のテクストの読解に即して言えば、近年の研究でなされているように、彼の道徳教育論を道徳の相対主義として位置づけて批判することは、妥当な評価とは言えないと考えられる。
著者
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