「一親一言語」使用は有効か?(英語教育)
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概要
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両親が異なる言語を母語とする家庭に育つ子どもは,自然に両方の言語を習得し,バイリンガルになると考えられることが多いが,現実には,産出能力を伴うバイリンガルになる子ども,受容能力のみについてバイリンガルになる子ども,あるいは主流言語のモノリンガルになる子どもと多様な状況が見られる.こうした潜在バイリンガル能力の顕在化に差が生じる要因はどこにあるのか.これまでの先行研究から,言語環境的,社会文化的あるいは家庭環境的視点から多くの要因が指摘されてきたが,その一つに「一親一言語」使用がある.「一親一言語」使用とは,各親が子どもとのコミュニケーションにそれぞれ異なった言語を使用する言語使用の一形態を指すが,一部の研究において,この形態が子どもの産出バイリンガル能力習得を促進するという説が主張されている.本論では,活発な言語使用が言語能力の発達を促進するとの前提に立ち,「一親一言語」使用と少数言語母語親に対する子どもの言語使用との関係を,日本語母語親と英語母語親からなる118の家族を対象に筆者が実施したアンケート調査からのデータをもとに考察した.データ分析から,「一親一言語」使用が必ずしも子どもの活発な少数言語使用を保証するものではなく,むしろ,子どもと少数言語との関わりが多ければ多いほど,子どもはこれを使用する可能性が高い-「少数言語との最大の関わり」とでも呼べるような原理が働いていることが示唆された.この原理の有効性については,今後,さらに多くのデータの集積,分析が必要である.
- 国際基督教大学の論文
著者
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