いじめ被害経験者の原因帰属および対処法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
いじめ被害経験者の適応について検討するための予備的研究として,原因帰属といじめへの対処法に焦点を当てた調査を実施した.大学生51名を対象とし,いじめ被害経験の有無や,原因帰属,対処法,いじめ被害経験を他者に話したことがあるかどうかなどについて質問した.全回答者の約60%がいじめの経験があると報告し,いじめ被害経験者のいじめの原因帰属と対処法それぞれの特徴が示された.原因帰属と対処法との関連は示されなかったが,他者にいじめ被害経験を話すことは対処法と関連すること示唆された.いじめ被害経験者は,自分のネガティブな経験を誰かに話すことで精神的な被害を軽減させようと試みていると推測され,他者にいじめについて開示することがコーピングとして機能している可能性が示された.今後は現在の適応の状況と,原因帰属,開示行動なども含めたコーピングの問題などを取り上げ,いじめ被害の長期的な影響についてより深いレベルで検討する必要がある.