Beliefs and Perceptions toward Media which Affect Learning from those Media
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概要
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本研究は小学生から大学生までを対象とした一連の研究をとおして、学習者がメディアに対してあらかじめ形成した信念の性質がそれらのメディアからの学習に影響するという一般的仮説を吟味した。第一の研究は小学校5年生3学級109名を対象として、文章の読み、書き、テレビ視聴、コンピュータ利用、教師の話を聞くという5つの活動に対して、好み、難しさの知覚、学習への期待という次元で先有知覚を調べ、それとメディアを使った授業からの学習との関連を求めた。その結果、児童はあるメディア活動を好むほど、それは難しくなくそこから学習できると知覚するという相関構造が見い出され、そのような知覚の性質は、教師のメディア利用を含む教授スタイルと関連することが明らかになった。第二の研究は中学校2年生134名を対象として、第一の研究と同様の先有知覚の構造を得たほか、生徒自身の学習の成否に関する原因帰属についても調べ、テレビからの学習の原因はテレビの易しさに求めるが、教師と本からの学習の原因は努力の行使に求める傾向があることを明らかにした。さらに、生徒の学業成績はかれらの教師からの学習期待と正の相関を示した。第三の研究は大学生と成人を対象として、マルチメディア教材「文京文学館」からの学習における心的参加の水準が学習に及ぼす効果を回帰的に吟味した。その結果、学習者の課題に向う「集中」の程度が媒介的な役割を果たし、学習の程度を規定していることが明らかになった。これらの発見を踏まえて、メディアを用いる学習場面における学校文化や教師の役割の意義について議論した。
- 放送大学の論文