「通信制大学院」の制度化について : 大学審議会答申の背景とその意味
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概要
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平成9年12月、文部省の大学審議会は、通信制大学院の設置を認める答申を行った。これまで、通信制大学院は、大学院制度の面から見ると、制度の弾力化をめざす大学院改革と放送大学の大学院構想の狭間で浮沈を繰り返しつつ、その実現は常に今後の検討課題として先送りされてきた。また、大学通信教育制度の面から見ると、学部の学生の実態から大学院でも通信教育は可能であるとしながら、学部の基準で大学院を規定することはできないという限界から、今日まで制度化されなかった。その意味で、通信制大学院の設置を認める答申が出されたことには大きな歴史的意義がある。その一方、通信制大学院が認められる背景には、マルチメディアを活用した遠隔教育への期待があるが、「通学制」と「通信制」の区別を維持するという考え方から、学部の通信教育の延長線上に通信制大学院を位置づけるという過渡的措置とならざるをえなかったともいえる。今後の技術の進展によって、あらためて設置基準の見直しが必要となるかもしれない。しかし、そのときは、「通学制」の大学院と「通信制」の大学院とを区別する理由はなくなるだろう。それぞれの長所がうまく融合することで、学習者がより学習しやすい教育形態となることが望まれる。
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