血圧降下をめざした高カリウム食の検討
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概要
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高血圧の食事療法は従来の塩分(Na)を制限する食事より、体内に入った塩分(Na)を排泄する食事療法へとその必要性が高まっている。そこで血圧とカリウムの関係を明らかにすることを目的に食事においてカリウムの効果的な摂りかた、そしてその試みのひとつとしてカリウムの多い7種類の食品を添加したパンを作製し、その嗜好性について比較検討を行った。また実際に高カリウムの食事を摂取しての症例についても検討し、次の結果を得た。(1)カリウムの多い食品20%を添加したパンではさといもがしっとりとしてふんわりした食慾があり、味、香りもよく嗜好的にも有意に好まれた。(2)さといもに干した果物を20%添加したパンではプルーンかきめか均一でしっとりした食態とほのかな甘味があり、有意に好まれた。干したいちじくは、ねちねちとした食感で有意に好まれないと評価されたが、干しがき、乾プルーンを混合することによって粘り気が緩和され、好ましい評価に改良されていた。(3)高血圧食の全体評価はカリウムの平均摂取量は2,700mgで一般食より約1,000mg多く、塩分は平均6.9gと減塩食で平均血圧は収縮期血圧108mmHg、拡張期血圧60.5mmHgと、高カリウム食ではないが至適血圧とコントロールされていた。(4)高血圧食から高カリウム食に変更した結果、入院患者のE、F氏に血圧の低下がみられた.在宅患者のG氏は高カリウム食に変更後塩分が1.4gアップしたにも拘らず収縮期血圧が若干ではあるが減少した。高カリウム食は血圧降下に効果があると思われる。