平仮名に選択的な純粋失読を合併した健忘失語の1例
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概要
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岩田(1984)による失読失書例の報告以来、漢字と仮名の情報処理ルートは別であると考えられてきた。しかし波多野(1985)は漢字と仮名の属性を全く検討していないことを指摘し、複雑さを同一にして比較した場合には両者の音読成績に有意差は生じないという仮説を立てた。しかし、この仮説を検証した報告はわずかである。本研究では、波多野(1985)の仮説を検証すべく患者の読み・書きの能力を検査した。その結果、単語の具体性、心像性、親和性が漢字の読みの成績に影響した。一方で、学習容易性、親和性、画数、頻度、習得学年などが漢字の書字の成績に影響した。画数を統一して仮名1文字と漢字1文字の比較をしたところ、読みに関しては両者の間に有意な成績差が生じた。本症例は、波多野(1985)の仮説に合致しなかった。本例には、仮名の音読・読解には純粋失読が、漢字の音読・書字・読解には健忘失語が合併していると考えられた。
- 群馬パース大学の論文
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