プロセスレコード演習における自己理解の効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
精神看護学実習において,プロセスレコードの演習が取り入れられている。本研究は,プロセスレコード演習における自己理解の効果を明らかにすることを目的とし,精神看護学実習での演習場面を分析することで,以下の結果を得た。1)演習における学生の言動分析では,「自己理解」「仲間意識」「サポート」「共有体験」「直面化」「患者理解」「学生評価」の7つのカテゴリーが抽出され,演習におけるgroup dynamicsが明らかとなった。2)演習における指導者の言動分析では,「学生のレディネス」「内発的動機づけ」「学生の自己理解」「学生の患者理解」「演習展開の指導」の5つのカテゴリーが抽出され,指導者の教育的介入が明らかとなった。3)自己理解の過程を5段階のレベルで分析すると,プロセスレコードを記述することで,「現象的自己の捉え」レベル,その状況を理解する「知的」レベルが存在した。これに演習を加えたところで,「感情」レベルが働き,「知的」レベルと「感情」レベルとの「統合化」がおこなわれ,自己を客観的に捉えることができる「自己の統合化」レベルに達していた。さらに,自己分析を繰り返すことで,「自己変容の始まり」につながっていた。以上の結果から,学生の自己理解を深めるには,プロセスレコードを記述するだけではなく,プロセスレコードの演習が効果的であるといえる。さらに,演習の有効性を高めるには, group dynamicsの活用と,それをサポートする指導者の教育的介入が示唆された。これらが有効的に働いて初めて,「演習」の効果は発揮できると考える。