インターベンション効果が中国語関係節の派生に与える影響(原田邦夫先生 盛田義彦先生 退職記念号)
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概要
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この論文は、中国語関係節の派生に、(i)名詞句自体が関係節内から移動することにより関係節を形成する繰上げ操作と(ii)目に見えないオペレータが移動するので、関係節を統治する名詞句は移動しないマッチング操作の両方が必要であると主張するAoun and Li (2003)を支持するものの、繰上げ操作において、移動する名詞句はNPまでしか投射しないという考えには異議を唱えるものである。Aoun and Li (2003)は移動する名詞句は数量詞を含まない(すなわち、NumPまで投射しない)ために、名詞句が再構築されることにより生じる数量詞相互作用現象は存在しないと述べている。しかしながら、Aoun and Li (2003)自身がデータで示しているように、普遍数量詞(meigeren)が単独で使用された場合は、数量詞相互作用現象を示し、douと共に使用された場合は、数量詞相互作用現象を示さない。そこで、本論文では、名詞句が再構築されることにより生じる数量詞相互作用現象は存在することを新たなデータをもとに主張する。また、meigerenがdouと共起した場合には、douが名詞句繰上げを妨げるもの、すなわち、インタービーナーであるために、移動された名詞句が数量詞相互作用を示すことの出来る場所に、再構築できないと指摘することにより、数量詞相互作用現象を示さないと提唱する。これにより、Aoun and Li (2003)の主張とは異なり、中国語関係節の繰上げ操作において、移動する名詞句は少なくともNumPまでは投射していることを示すことが可能になる。