アメリカのイブとしてのキャリー・ミーバーの探求 : アメリカンドリームの幻想
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概要
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『シスター・キャリー』が描き出すアメリカ社会の現実は、著者自身の観察に基づいたもので、「お上品な伝統」が無視した都会に住む下層階級の人々の現実であった。アメリカン・ドリームで裏打ちされた物質主義社会の一員として、より豊かな生活を切望する18歳のキャリーは、女工としてシカゴで生活を始める。失業や2人の男性との同棲を経て、キャリーは女優として成功する。しかし、切望していた豊かな生活を手に入れたにもかかわらず、キャリーは満足することができない。小説には、決定的な瞬間の誤った反射的な行動により引き起こされる破壊的な滅亡と、本当の幸福の認識、という彼女の辿るであろう二つの未来像が暗示される。またこの論文では、アメリカのイヴとは何であるかを明示し、キャリーをアメリカのイヴであると考える。アメリカのイヴとしてのキャリーの理想探求は、最終的に成功と富を手にしながら幻滅するキャリーが描かれる、という皮肉な形で終わる。小説は、物質的な豊かさを求めても、楽観的なアメリカン・ドリームが期待させるような、精神的充足は決して手に入らないということを伝えている。