移民・出稼ぎとマルクス的帝国主義理論 : 政治経済学は移民・出稼ぎを扱い得るか?
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概要
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世界経済の現況を批判的視点から見ようとするとき、最も難しいけれども最重要でもある問題は移民・出稼ぎ及びそれに伴って国内外で生じる軋轢問題である。マルクスの経済学はアダム・スミスの政治経済学を最もラディカルに継いだものと見なされて、多くの人が「現代的に重要な」問題の答えを約一世紀にわたりこの経済学に求めてきた。その結果がマルクス的帝国主義論を作り上げてきたのだけれども、こんにちではこの理論はほとんど有効でないように思われる。本稿はこの帝国主義論の強調点の変遷を吟味し、現代における移民・出稼ぎ問題を分析する上で何が欠落しているのかを探求する。