生殖医療を受けている女性の不安と人格特性との関連性

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高度生殖医療(ART)は日常的な治療法として受容されるまでになったが,治療を行う女性にとっては不安が大きく,人格特性との関連も深いと考えられる。本研究の目的は,ARTを受けている女性の不安と人格特性との関連を明らかにすることである。ART中で同意の得られた80名の女性に,STAIと日本版NEO-FFIの記入を依頼し,68名分の有効回答を分析した。その結果,平均年齢は36.1±4.8歳であり,平均特性不安は46.9±9.7,平均状態不安は49.0±9.1であった。また,人格特性の5次元(神経症傾向・外向性・開放性・調和性・誠実性)の平均値は,それぞれ25.9±6.3,25.5±5.5,28.4±5.4,31.7±4.4,29.6±5.3であった。神経症傾向における高得点の割合は44.1%を占めた。つぎに,特性不安の程度が,「低い〜普通」A群,「高い」B群,「非常に高い」C群の3群間でNEO-FFIとの関連をみた。その結果,A群の神経症傾向は22.0±5.2,外向性27.8±5.2,開放性30.0±5.9,調和性32.3±4.4,誠実性29.9±6.0であった。B群は神経症傾向27.0±4.3,外向性24.0±6.0,開放性26.5±4.4,調和性31.4±4.3,誠実性28.7±4.5であった。C群は神経症傾向32.4±5.2,外向性23.4±3.3,開放性28.0±5.0,調和性30.7±4.4,誠実性30.4±5.2であった。3群間での分散分析の結果,神経症傾向(F(2,65)=22.3,p<0.001),外向性(F(2,65)=4.99,p<0.05)で有意差があり,開放性,調和性と誠実性には有意差はなかった。これらの結果は,心理的援助を要する治療中の女性を理解するうえで一助となり,さらに,包括的なメンタルケアを行うためのエビデンスになると考えられる。
日本母性衛生学会の論文

生殖医療を受けている女性の不安と人格特性との関連性

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