米軍統治と家族計画 : 戦後沖縄における生殖をめぐる交渉
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概要
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本稿は、米軍統治下におかれた戦後沖縄の人口と生殖をめぐる政治のありようを解明し、ノスタルジックに非政治化された沖縄の生殖の場を再考する。すなわち、戦後沖縄における家族計画の軌跡の詳細な内容解明を行う。具体的には、第一に米軍政下で「過剰人口」が人為的に作られ「問題化」される経緯、第二に優生保護法の是非をめぐるUSCARと琉球政府の交渉プロセスとその真の争点、第三に家族計画普及に関与した諸アクターとそれぞれの論理、利害の交差について分析する。本稿で分析対象とするのは、USCAR文書と琉球政府文書、沖縄家族計画協会刊行物、新聞・雑誌、沖縄家族計画協会や琉球政府関係者へのインタビュー資料である。これらの資料分析を通じ、沖縄は米国が軍政を敷いていたからこそ家族計画をめぐる国際的・国内的潮流の「はざま」/「辺境」に置かれたこと、その一方で、米国・USCAR、琉球政府、沖縄家族計画協会、国際家族計画連盟(IPPF)、日本の家族計画推進団体、受胎調節実地指導員となった助産婦ら、多様なアクターの利害関心が絡み合い一致する中で、国際的・国内的潮流の影響を受けながら、日本から「遅れる」こと15年、家族計画の普及体制が確立されたことを詳述する。
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