先住民の権利と国家および国民の条件(<特集>先住民と<国民の歴史>)
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概要
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「先住民の権利に関する国際連合宣言」は先住民の自己決定権を、なんら制限条件を加えることなく明記する。それにもかかわらず、多くの先住民組織は、彼らの置かれている状況の制約のゆえに、「政治的地位を自由に決定する」権利を保持しつつ、既存の国家の中での自己決定の実現を求めているといわれる。それは「遅らされていた」国家・国民形成の要求でもある。キムリッカの政治哲学から国家の概念的枠組みを援用すれば、先住民の求める国家形態は連邦制となるはずである。国家の制度形態の模索と並行して、先住民に対する「民族絶滅と文化絶滅」の歴史が、「遅らされていた」国家・国民形成の道徳的焦点になると予想される。国民は、原住民を排除した国民から、先住民を対等の民として包含する国民へと、組み換えられねばならず、そのためには<国民の歴史>の組み換えが課題となるだろう。
- 2008-12-31
著者
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