中国の大衆消費社会の進展と消費者行動の変化 -都市部における消費実態調査に基づく分析-
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概要
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中国の大衆消費社会ないし大衆消費化の過程を明らかにするためには,政府統計等などのマクロ的なデータを基に分析する上,消費者意識行動の実態把握のための一次資料の収集と分析が必要である。小論では,7都市で収集された中国都市部住民の消費に対する意識と行動の調査データをもとに,そこでの消費者意識の実態とその変容の過程の一端を明らかにしてきた。本稿の調査分析では,消費生活に関する意識と行動の基本的次元の抽出を行い,3つの次元について詳述した。第1次元は消費・高級品志向の軸であり,消費・高級品志向か,節約・廉価品志向かの次元である。この第1次元のプラス方向が大衆消費社会化を説明する上で重要となる。第2次元は広告関心型消費を示す軸で,広告情報利用型節約志向か,広告無関心型消費志向かの次元である。第3次元は将来生活への展望や差異化志向を示す軸であった。それぞれの消費者グループがこの基本的次元のなかでどのように位置づけられるかを検討することによって,中国都市部の消費社会化プロセスの内実を明らかにした。
- 2009-03-12