課税と社会的費用
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概要
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最小徴税費原則は,今日でも重要な租税原則のひとつである。国庫収入は出来るだけ少ない徴税コストで得られる事が望ましい。しかし,課税自体, 税収入や直接的徴収費用以外の思わぬ負担やコストも生じさせている点に留意が必要である。ここでは,それらを社会的費用として捉え,各税について,それらの社会的費用が避けられないとしたら,各税収入との見合いで,すなわち公的財源の限界費用や財源の効率的限界費用という概念を援用し,この関係を把握し,更に各税間の比較考量によって効率的な課税のあり方を検討している。この意味で, 簡素な税制模索にもなり, また歳出面でも充当される税のこうした社会的費用を考慮する事で,効果的使用となる可能性について指摘している。 まず課税の社会的費用として,いわゆる超過負担,そして脱税,租税回避に関わる分,政策上の配慮から種々の特別措置等がもたらす節税アドバイス分,また税務当局の関連する税務行政コスト等について吟味し,Slemrod & Yitzhakiの公的財源の限界費用の定式化を再検討し,計測可能性を意識しつつ再定式化を試みている。実際的な応用と更なる詰めの為の実証分析は残された課題である。
- 2009-03-12