アブシシン酸受容体
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概要
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植物ホルモンの受容体が次々と同定され,そのシグナル伝達の分子メカニズムが明らかになっていくなか,アブシシン酸(ABA)受容体の同定は遅れていると思われていた.しかし,2006年から2007年にかけて3つの異なるABA受容体に関する報告が相次いだ.最初の報告は花成の制御因子FCA,2番目はMg-キラターゼHサブユニットであるが,何れも既知のタンパク質で,これまで知られていた植物ホルモン受容体から予想される分子とはかけ離れていた.最後に報告されたのは3量体G-タンパク質共役受容体と推定されたタンパク質GCR2で,これは受容体としては考えやすく,ABAシグナル伝達に関するこれまでの知見との接点もある.しかし,この報告に対する批判論文が相次いで報じられた.受容体同定によりABAのシグナル伝達メカニズムの理解が進むと期待されていたが,実際には新たな疑問を生み出す結果となっている.本稿では,これらの報告と問題点を中心にABA受容体研究について紹介する.
- 植物化学調節学会の論文
- 2008-12-19
著者
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武田 真
名古屋大学生物機能開発利用研究センター
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服部 束穂
名古屋大学生物機能開発利用研究センター
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伴 佳典
名古屋大学生物機能開発利用研究センター
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加賀谷 安章
三重大学生命科学研究支援センター
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服部 束穂
名古屋大学 生物機能開発利用研究センター
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加賀谷 安章
Life Science Research Center Mie University
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