アミノ酸発酵研究の最前線 : 生産プロセスの高効率化に向けて(<特集>バイオテクノロジーによる循環型産業の新展開と問題点)
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概要
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アミノ酸発酵産業は,1950年代のわが国でのCorynebacterium glutamicumによるL-グルタミン酸発酵法の確立以来,産学連携の下に発展を遂げ,同時に各種のアミノ酸事業の拡大を通してグローバルに展開しつつある.現在でもアミノ酸の世界市場は伸張し,拡大する市場をめぐり国際的に熾烈な競争が繰り広げられている.最も生産量が多いL-グルタミン酸ナトリウム市場は2006年時点で約195万トン,飼料用アミノ酸としてのL-リジンは約96万トンとも推定されている.したがって,このような大量生産の製品を製造する上で,環境保護への配慮はきわめて重要なものとなってきている.アミノ酸発酵産業は基本的には農業との連携によってバイオマスが循環する「資源循環型」の産業である.弊社グループでは図1に示したように,アミノ酸「バイオサイクル」という環境に配慮した生産活動を推進している.たとえば,主原料としてサトウキビの糖蜜を用いるアミノ酸生産プロセスでは,50万トンのアミノ酸を製造するために約150万トンの糖蜜が必要である.一方,この過程で約160万トンの,窒素や有機物を含む副生物が出るが,この多くは肥料として加工し,主原料である糖蜜150万トンの供給に必要なサトウキビ畑面積50万haの約7割へ有機肥料として供給が可能である.このことは,その分の化学肥料(尿素)の使用量の低減につながり,結局は,その尿素を製造する際に年間発生する二酸化炭素(約23万トン)の削減に貢献している.
- 2008-11-25
著者
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