『更級日記』冒頭考
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概要
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更級日記の冒頭には、作者菅原孝標女が上総の国司館で物語世界に引き込まれ、十三歳で念願叶って、物語の待つ憧れの京に旅立つ経緯が、簡潔に纏め上げられている。ただ、「あづま路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人」という書き出しから事実に反するために、冒頭部分は日記全体の構想論、構造論に絡ませて、様々な"読み"が試みられてきている。冒頭部分は簡潔ではあるが、それだけに重層的に、日記を書く時点で捉え直された、大人の女性としての第一歩を、まさに踏み出そうとする、十三歳の自己が描かれていると言える。以下にこの冒頭部分に対する私なりの読みを纏めてみたい。
- 新島学園短期大学の論文