要養護児童のアタッチメント形成と里親委託制度
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概要
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本稿はアタッチメント形成を保障するケア資源としての里親委託の意義を明らかにすることを目的とし、里親・里子へのインタビュー調査からアタッチメント形成に必要な要因ついて考察を行った。その結果、安定したアタッチメントの形成には特定の他者との緊密な関係の中で子どもが安心して暮らし、自己という存在が丸ごと受け止められていると実感できることが必要であると判明した。また、里子のケアは高度な知識・技能が要請され、里親への十全な支援がなければ、アタッチメント形成は容易ではないことも明らかになった。しかし、虐待対応に追われ、里親委託業務を行う専門性も高いとは言い難い児童相談所の現状から察するに、里親支援の充実及び委託拡充は難しいことが浮き彫りになった。そこで、里親委託におけるアタッチメント形成とその保障に向けた課題として里親委託業務を児童相談所から児童福祉施設やNPO法人等の民間団体へ委譲する必要性について言及した。