訪問看護師の勤務継続と職務満足との関係
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概要
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【目的】老人訪問看護制度創設以来、訪問看護ステーション(以下STと賂す)は、在宅看護の中心的役割を担っている。しかしSTは歴史が浅いことも影響して、訪問看護師の在職率は59.8%と低く、その確保が訪問看護の質向上および事業経営上の重要な課題である。病院看護師では、勤務継続には職務満足が重要な要素であるが、訪問看護師では明らかではない。そこで、訪問看護師の勤務継続と職務満足との関係を明らかにする。【研究方法】調査期間:平成14年9〜10月、対象および調査方法:一次調査で承諾の得られたA県下51STの全訪問看護師(209名;回収率89.7%)に調査票を配布し(無記名自記式)、個人ごとに郵送で回収を行った。職務満足度測定指標:中山(1994)の「看護婦の仕事に対する価値の置き方と満足度」を参考に訪問看護師に合致するよう改変を行った。データ分析:統計解析ソフトSPSS10.0を用いた。倫理的配慮:一次調査では、ST管理者に調査協力の意思を確認した。さらに二次調査では対象個人の意思を尊重し、回答後は各個人で研究者宛に送付してもらうよう依頼した。調査票は無記名で個人の秘密保持に留意し、A大学研究倫理委員会審査で承認を得て実施した。【結果・考察】1.訪問看護師の職務満足度測定指標の信頼性・妥当性が検証された。訪問看護師の職務満足度の構成要素は、『訪問看護の専門性』『マネジメント』『利用者・家族および医師との人間関係の困難性』『訪問看護志向性』の4要素であった。そのうち、『訪問看護の専門性』が最も大きな要素あったことから、訪問看護師は『訪問看護の専門性』に最も満足していると考えられた。2.訪問看護師の勤務継続と職務満足とは関係し、特に『訪問看護の専門性』と『訪問看護志向性』が関係していた。そして『訪問看護の専門性』には特に『自律性』が関係しており、訪問看護師の自律性には訪問看護研修受講が有効であった。また『訪問看護志向性』には年齢・配偶者および子供の有無・健康状態が関係し、家庭との両立や健康状態が保持できる環境整備が重要であると示唆された。