『俳諧次韻』「鷲の足」五十韻分析(上)
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概要
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本稿は、信徳・春澄ら『諧誹七百五十韵』(延宝九年正月刊)と桃青(芭蕉)・其角ら『俳諧次韻』(同年七月韵)との相違点・共通点を明らかにするため、「八人や」五十韻(『七百五十韵』「第八」)と「鷺の足」五十韻(『次韻』巻頭)を対象に付合を読み直す作業の、後半部分にあたる。すなわち、前者の分析(本誌46・47集に掲載)とほぼ同じ要領で、「鴛の足」五十韻を再検討するものであり、分量の関係から二回に分載する。本文は近世文学資料類従『談林十百韻他』(勉誠社昭和52年刊)所収の影印により、句頭に通し番号を打つほか、字体を通行のものに統一し、濁点や漢字の読み(カタカナは原本通り)を私に付す。なお、『七百五十韵』に比べれば注解書も割合に多く、とりわけ『校本芭蕉全集 第三巻』(角川書店 昭和38年刊↑富士見書房 平成元年刊、後者を使用し『校本』と略記)の大谷篤蔵・木村三四吾・今栄蔵・島居清・富山奏各氏連名の校注、日本古典文学全集『連歌俳諧集』(小学館昭和49年刊、『全集』と略記)の暉峻康隆氏による校注、阿部正美氏の『芭蕉連句抄 第三篇』(明治書院 昭和49年刊、『連句抄』と略記)、鳥居清氏の『芭蕉連句全註解 第二冊』(桜楓社昭和54年刊、『全註解』と略記)等を大きな指標としながら、「前句に全躰はまる事」や「細工」の否定など、芭蕉が延宝九年五月十五日付麋塒宛書簡に示した認識がどう反映しているのか(あるいは、していないのか)という点を大きな関心事として、吟味・分析を進めていく。
著者
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