ネップ期におけるM.A.ブルガーコフの諷刺的散文について
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概要
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1920年代の前半に自己の作家としての才能を開花させ,その後抹殺されたブルガーコフは近年ソ連においてようやく復活した。しかしこの復活のスピードは他の作家とくらべて決して速いものとはいいきれなかった。スターリン批判以降,ようやく『ド・モリエール氏の生涯』が1962年に刊行され,これと前後して『トウルビン家の在りし日』,『逃亡』などが刊行された。1966年連作『若き医師の手記』,『白衛軍』等を含む散文集が刊行されたが,『若き医師の手記』の中のすぐれた短篇『星くず』,『公爵の火』などが欠落していることはこれまで見落されてきた。このようにブルガーコフについてはソ連および西側でも十分に解明されているとは言い難いのである。1987年"ЗНАМЯ"の第六号に今まで発禁処分にされていた"Собачьесердце"『犬の心臓』がようやく日のめをみるに至り,ソ連におけるブルガーコフの復権も揺るぎなきものになったと言える。本稿ではネップの初期に書かれた"Похождение Чичикова"『チチコフの遍歴』における諷刺的な要素がどのようなものであるのか,またそれが"Собачье сердце"の中でどのように受け継がれていったのかを比較検討してみたい。
- 駒澤大学の論文
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