放送・通信「融合」期における法制度設計と公法学
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概要
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情報通信技術の目覚しい発展と通信市場における規制緩和を背景に、我が国では世界で最も情報通信分野のイノベーションが進んでいる。中でもFTTH(光ファイバ)を中心とした伝送インフラの発展は、「IP化」及び「ブロードバンド化」を推し進める重大な要因となった。そして、これらのイノベーションを受け、情報通信分野では、これまでの通信と放送の枠を超えて、伝送路、サービス、事業体等の融合が進んでいる(「通信と放送の融合」)。この「通信と放送の融合」によって、通信と放送を区分し、通信には原則として規制をかけず、逆に放送には規制をかけるという現在の法体系が、社会の実体に適合しないものとなっており、通信と放送の規制の在り方を巡って、多くの問題点が指摘きれている。本稿では、このような「通信と放送の融合」の現状について、総務省の「通信・放送の在り方に関する懇談会」、「通信・放送の総合的な体系に関する研究会」等の議論を踏まえつつ、各種データや放送法改正の動向等を踏まえて整理するとともに、通信と放送における規制の在り方、特に法制度設計について、公法学の観点から検証を加えるものである。なお、本稿は、西澤雅道=井上禎男「放送・通信の『融合』をめぐる問題状況-事業者の多様性と法的規制の存置可能性-」情報通信学会誌(情報通信学会)25巻2号(通巻84号:2007年9月発行)所収からの継続ないし問題意識の敷衍でもある(同稿では西澤が1ないし3を執筆、井上が4及び5を執筆した)。本稿では西澤がIないしIII、井上がIV及びVを各々分担している。両稿ともに執筆者間で全体調整を図り、記述の整合性に留意した。
- 名古屋市立大学の論文
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