1960年代イギリスの移民女性労働とジェンダー : 1966年サンプル・センサスを中心に
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概要
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本稿では、60年代イギリスにおける移民女性の労働およびジェンダーのあり方を、1966年サンプル・センサスを利用して分析する。その目的は、イギリス社会において植民地/新コモンウェルス諸国からの移民が本格化し、社会問題として認識され、政治化された時期において、女性移民の労働の実態とその変化、およびそれにたいするイギリス社会の認識・対応を分析することである。本研究は当該時期にイギリスに移住したアフロ・カリビアン系、インド系、パキスタン・バングラデッシュ系などNCW諸国から移民のみならず、アイルランド人女性移民、そして第2次世界大戦直後にイギリスに来た東欧系移民もまた対象とする。またブリティッシュ女性、特に既婚女性のパートタイム労働と移民労働者との競合、補完関係を考察する。66年センサスの分析は移民がエスニック・グループ別に分断された労働市場に属したことを示すとともに、ブリティッシュのパートタイム女性労働者もまた独自の労働市場を形成していたことを示している。二つの労働市場は時には重なり合うものの、雇用主あるいは顧客の嗜好などによって別々に存在していたのである。移民女性のジェンダーの検討からは、彼女たちのドメスティシティが否定されることよって、労働者としての役割が際立ったことがわかる。今後、職業・産業を絞っての移民女性労働の詳細な検討ともに、移民女性のジェンダーの位置づけの検討が必要である。
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関連論文
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- ドロシー・トムプソン著(古賀秀男・小関隆訳), 『階級・ジェンダー・ネイション-チャーティズムとアウトサイダー-』, ミネルヴァ書房, 2001年9月, viii+311+7頁, 3,600円
- C・ナーディネリ著, 森本真美訳, 『子どもと産業革命』, 平凡社, 1998年3月, 296頁, 3,200円
- 前川和也編著, 『家族・世帯・家門 : 工業化以前の世界から』, ミネルヴァ書房、一九九三年四月、iv+四四六頁、六五〇〇円
- 三富紀敬著, 『欧米女性のライフサイクルとパートタイム』, ミネルヴァ書房, 1992年, xiii+376頁
- ローレンス・ストーン著, 北本正章訳, 『家族・性・結婚の社会史 一五〇〇-一八〇〇年のイギリス』, 勁草書房、一九九一年七月、十六+六三四+五二頁、五三五六円
- 姫岡とし子・長谷川まゆ帆他著, 『ジェンダー』(近代ヨーロッパの探究(11)), ミネルヴァ書房, 2008年7月, xvii+348+23頁, 4,725円