保健室における「ナラティヴ」の意味と教育的効果 : 質問紙の自由記述欄の質的分析から
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概要
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筆者は、これまでに高等学校の養護教諭として、保健室来室者に対しナラティヴ・アプローチを実践し、その効果について一週間後に質問紙調査を行い、その効果の量的評価測定を実施した。質問紙調査による5段階評定法における評価結果については生徒の心の悩みの解消に一定の効果が認められ、この点については前回報告した。そこで今回は、前回と同じ質問紙中の自由記述欄の記載内容を質的に分析し、健康相談活動において養護教諭が実践するナラティヴ・アプローチの効果を心の健康回復の観点から教育的効果について評価を試みた。その結果、健康相談活動におけるナラティヴ・アプローチは学校における「隠れたカリキュラム」(イリッチ)から生徒を解放し、「自我同一性」(エリクソン)の獲得、「社会的自我」(ミード)の形成と言う教育的効果を産むことが明らかになった。これによりナラティヴ・アプローチは、職務の多様化、複雑化により急務とされる養護教諭の専門性の確立に対し、重要な柱として位置づけられると言える。
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