児童相談所における里親制度運営に関する一考察 : 全国と岐阜県の里親委託・支援状況に着目して
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概要
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本稿では、児童相談所における里親制度の運営体制確立を見据え、岐阜県の里親委託と児童相談所における里親支援の問題と課題を検討した。まず、2002年度から2005年度までの福祉行政報告例より里親に関する統計値を分析し、全国との比較から検討した。その結果、岐阜県では2005年度になり、全国的傾向からやや遅れて里親委託率・里親受託率が上昇したが、それは全国値より低かった。また、岐阜県では登録里親数は減少傾向にあり、短期里親の登録者は皆無であった。一方、岐阜県は全国との共通点として、短期里親の登録者の一人もいない15都道府県等の一つであること、里親が一時保護委託先として活用されていないこと、専門里親登録者が充分に活用されていないことがあげられた。次に、岐阜県下3ヵ所の児童相談所の管轄区域におけるフィールドワークから、レスバイトケアの利用、里親サロンの活動、里親担当者の配置を検討した。その結果、レスバイトケアは委託児童に適切であるのか疑問を指摘した。一方、里親サロンは今後、期待される活動であった。また、里親担当者については、短期間での異動などの問題点があった。以上、岐阜県の里親委託・支援状況を考察し、提言として(1)社会的養護への姿勢を明確にした里親委託の推進、(2)一時保護機能をもつ短期里親の開拓、(3)里親事業へのモニタリングと里親活動への後方支援、(4)里親担当者の専門性と継続性の必要性を述べた。