中国攀枝花(はんしか)製鉄所の建設とその特質 : 政府政策と企業活動
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概要
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本稿は、中国鉄鋼業の発展過程における政府と企業との関係を考察するという視覚から、攀枝花製鉄所(以下:攀鋼)を研究対象に選び、指摘検証と企業経営面の分析を通して、その建設の特質を究明することを課題とする。考察の対象時期は1960年代から80年代半ばまでである。攀鋼は中国西南地域における最大の鉄鋼メーカーで、重要な経済的役割を担っている。それと同時に、攀鋼はまた中国の重要な国防鉄鋼基地であるために、特殊な使命を背負い続けている。攀鋼建設の特質は、政府の政策が1つの製鉄所にこうした相反する性質を長期的に併せ持たせたところにある。このような特質の形成の起因は、それまでの中国の置かれた苛酷な国際環境からの直接的な影響と、政府の政治的戦略的対応に求められる。そして、1960年代における特徴的な政府から企業への硬直した一方的な関係の存在こそが、この特質の形成を可能にした要因だと判断される。