中国企業による対外投資の特徴と問題点
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概要
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中国の経済成長は拡大し外貨準備残高は2006年には1兆7609億米ドルと世界一の規模に拡大している中、中国政府は「走出去」と呼ばれる中国企業による海外での対外投資を促進させている。政府が支援している対外投資は、表向きは人民元切り上げへの対策、国内の過剰投資の解消、貿易摩擦に対応、グローバル企業の育成などを目的にしているが、案件に対する失敗率も高く利益率も低い。競争優位理論が想定している競争力の源泉が作用していない。既に人件費の高騰や設備投資は高くない中国企業が海外に進出することで新たな利点、戦略は考えられない。中国企業の対外投資が効果的であるとはいえない中での資源の獲得を目的としている対外投資は世界から注視されている。本論文では、まず中国企業による対外投資の現状、先進諸国と違う戦略と特徴について触れ、それが効果的に作用していないことを検証する。その上で資源の獲得を目的としている対外投資の実態と中国企業の役割について若干の示唆をする。