自民党の政策形成能力 : 野党期自民党の議員立法を中心に
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概要
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本稿は野党期自民党の議員立法を分析対象としている。自民党は1955年の結党以来、1993年から1994年の一時期を乃増手政権の座にあり、「野党期」といわれる時期は極めて短い。それにもかかわらず敢えてこの時期の議員立法を研究対象とするのは、官僚機構の協力を得られにくくなる野党の立場としての、いうなれば「素のままの」自民党の政策形成能力を測りたいがためである。政策形成に関する議論においては戦後から長期の間、官僚主導論が占めていたが、1980年代後半からは逆に、政官関係でいうところの「政」の側、特に自民党の政策形成能力の再評価、すなわち自民党の長期一党支配の中で「族議員」と呼ばれる特定の政策分野に精通した議員が出現し、従来官僚主導と言われた政策形成の場面において、それらをしのぐ能力を発揮しているという議論が出てきている。しかしながら、野党期自民党の議員立法、そして自民党を離党した「族議員」の野党所属期における議員立法を検討すると、自民党がそうした能力を持ち合わせているかということに対しては疑問が生じる。そこには常々「責任政党」を標榜してやまない自民党の「素のままの」政策形成能力が現われていると言っても過言ではない。