銀行中心の日本の金融制度について
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概要
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バブル崩壊後の日本の金融機関,主に銀行部門は,日本政府の公的資金注入と日本銀行の低金利政策という外部からの支援により大手主要銀行を中心に表面的には健全化してきている。しかし,最近の研究成果から検討するといくつかの問題点が残る。本稿では,金融仲介機能の要になる再交渉の効率性,「比較金融制度論」の理論的な既存研究成果をまとめた後,最近の日本経済の変化とこれにともなう日本の金融制度の変貌について考察する。過去の公的資金注入はほとんど金融機関経営者の責任問題を無視した結果になっている。こうした規制当局の姿勢は,金融システム全体の非効率性につながる可能性があり,当局に対するガバナンス構造の強化が求められる。