ハワイにおけるオキナワン・ディアスポラの理論化 : 多文化という特有な環境に対するディアスポラ研究の応用
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概要
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本稿は、ハワイにおける沖縄系人の経験を、現代のディアスポラ研究の慣例においての正当な「ディアスポラ」として明示していく過程を略述するものである。本研究は、ハワイの多文化という環境における沖縄系人のディアスポラ経験を特色づける3つの背景状況を中心に据えた点に意義がある。これらの背景状況は、民族学的調査データを整理し、調査研究を行う際の指標としての役割と、ハワイの歴史的な状況と現代の状況の重要な結びつきを示す役目を担っている。さらに、これらの背景状況を提示することにより、本研究調査データとディアスポラの必要条件としての文化とエスニシティの重要さを組み合わせる際の理論上のフレームワークを構築することができる。現行の研究調査は過ぎゆく世代の歴史的で生きた経験を捉えそれらを記録に残す最後の機会であり、またディアスポラ研究に新たな明察を提示する可能性がある。沖縄人は世界でも長寿の人々と言われており、1900年から始まったディアスポラと"確実に"かかわりを持つ100歳近い人々に出会う本調査は重要な意味を持つものである。