大学生の「知」の意識 : グループ面接による探索的研究
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概要
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本研究の目的は大学生の認識論的信念を明らかにし、それらの学習への影響を探るとともに、特定の信念と社会・文化的な環境との関連性を検討することである。先行研究から知見が限られているため、探索的研究法を採用し47名の大学生および大学院生を対象にグループ面接を実施した。テーマ分析の結果、4つの認識論的信念が見出された:(a)知の相対性と絶対性-知識は相対的な特徴をもつか、絶対的な特徴をもつか、(b)情報の取捨選択の基準-情報収集に際し合理的・論理的思考をどの程度重視するか、(c)教師の役割-指導力と人間的な関わり合いを教師にどの程度期待するか、(d)暗記と学習-学習において暗記は重要か。米国での調査結果とほぼ一致する信念が見出された一方で,知を相対的にみる信念のように日本の社会・文化的環境と関連性が高い信念の存在が明らかになった。また一部の参加者は教師との間に認識論の食い違いを感じ、それらは学習における戸惑いに繋がっていることが示された。これらの結果が示唆することは、教育者が(a)自身のもつ信念の確認を通して認識論的信念に関して意識を高め、(b)学生が身につけるべき認識論的信念について、学問分野の特性だけでなく社会・文化的な視点も考慮に入れた検討を行うことである。
著者
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渡部 涼子
Ferris University
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宮田 真理子
Ferris University
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田崎 勝也
フェリス女学院大学文学部
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會田 祐子
Ferris University
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山際 梨華
Ferris University
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田崎 勝也
文化心理学
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