ブタにおける脂質関連遺伝子における機能的SNPsの検索(I.大学院重点特別・研究科特別経費,平成18年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
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概要
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ベータ3アドレナリンレセプター(ADRB3)遺伝子は,哺乳類におけるエネルギーの恒常性維持や肥満との関連が報告されている。我々は,ブタADRB3における一塩基挿入/欠失型多型を発見し,T5型およびT6型対立遺伝子と命名した。これら多型対立遺伝子の効果を明らかにする目的で,全国農業協同組合連合会飼料畜産中央研究所と共同研究を行い遺伝子型と経済形質との相関解析を行った。その結果,デユロック種において,ADRB3遺伝子のT5型・T6型対立遺伝子は,体重30kgから90kgまでの期間における一日増体量には影響を及ぼさないが,ロース芯断面積に統計学的に有意な差が発見された。すなわちT6型のホモ接合体は,その他の遺伝子型の個体に比べて,95kg時点でのロース芯面積を有意(P<0.002)に増加させる効果が認められた。有意水準に達しなかったが,ロース芯面積はT5型ホモ接合,T5/T6型ヘテロ接合,T6/T6ホモ接合の順に増加することから,T6型対立遺伝子の効果は相加的であると考えられる。先行研究を調査した結果,今回の知見には新規性が存在し,かつロース芯面積は,ブタの産肉能力において重要な経済形質であるので,本研究成果に基づいて「ブタベータ3アドレナリンレセプター遺伝子の多型に基づくブタ形質の診断方法」として日本国特許を出願した(特許願2007-149480)。
著者
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