Quality of lifeからみた再発グリオーマ患者の治療評価
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概要
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再発悪性グリオーマの延命治療はどこまで積極的であるべきだろうか.この治療に必要な入院期間、意思の疎通性までをQOLに含めて検討した報告はない.本論文では、再発悪性グリオーマ患者のQOLを考えたとき、従来の治療指針でよいのか検討した.対象は、再発悪性グリオーマ18例で、再手術、追加照射、化学療法、免疫療法などを行った.手術にその他の治療を行った12例をA群、手術のみを行った3例をB群、対症療法のみで腫瘍に対しては積極的な治療を実施しなかった3例をC群とした.QOLの判断に、再発から死亡までの期間、再発から死亡までの期間に占める入院期間、再発から死亡までの期間におけるacceptable QOLの期間等を検討した.QOLはKarnofsky performance status (KS)とJapan coma scale (JCS)を用い、KSが40%以上、JCS I-3が以上をacceptable QOLとした.再発後、死亡するまでの期間に、JCS I-3以上のacceptable QOLにあった割合をA群+B群とC群、比較すると、前者がp=0.06で高かった.しかし、この経過中、入院の割合をA+B群とC群の間で比較するとp=0.02で前者が大きかった.すなわち、治療群で意識が保持されるという利点は、入院割合の高さで相殺されると判断される.結論:再発性グリオーマの治療は延命効果に乏しいが、意識レベルの保持の面から評価できる.しかし延命に努力すればする程、病院に縛られる期間が長くなり、一概に積極的治療がtotalな意味でacceptable QOLを約束するものではない.
- 沖縄県立看護大学の論文