ラオスにおける村落林業の試行と木材生産・販売制度の改善について
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概要
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ラオス政府及び世界銀行等が行っている村落林業プロジェクトにおいては,村落が県との契約・指導の下に木材生産を目的とした森林経営を行い,木材販売による純益は道路等村落開発事業に当てられている。しかし,天然林材を販売出来るのは政府のみと新たに規定されたのを機に,事業は村落ではなく県主導で行われている。政府内部には村落林業は森林法違反であり,かつ森林に恵まれない村落との公平の観点からも問題とする意見がある。ドナー側は,持続可能性の高さや地域開発への寄与等の観点から村落林業の継続及び恒久的な制度的位置づけ等を求め対立している。森林法等の検討の結果,村落林業は森林法違反ではないと思われる。村落林業は,現行の直営形態に比べて持続可能な経営の実行性は高いが,そのコストは極めて高い。また,適正な対価が支払われていないことと併せて,他の村落との公平性の問題がある。村落林業は森林経営について様々な問題があるラオスにおいて評価すべき取り組みであるが,今後は,試行を継続するとともに,森林経営形態毎に持続可能な森林経営の実行性,効率性の比較検討を行い,また公平性の確保及び利益の配分手段について検討し,ラオスにおける木材生産・販売を改善する必要がある。
- 林業経済学会の論文
- 2002-03-15