中四国における街路景観色彩の特性と都市気候との関係(建築計画B)
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概要
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街路色彩調査を,中・四国の10都市のメインストリートで行った.各都市,平均70地点で,外壁と看板の色彩を,マンセル色票を用い測色した.その結果,外壁と看板の色彩は地域性を示した.外壁の色彩は,どの都市もY(yellow)とYR(red-yellow)の色相が卓越した。そして,山陰地方の都市はPB(purple-blue)の,瀬戸内地方の都市はG(green)の色相が他地域になく大きな割合を示している.次に,看板の色の地域性を各都市の気候要素との関係で相関・回帰等の統計分析をした.年平均気温は,R(red)の色相の割合と(R=0.785),PB(purple-blue)の色相の割合とは(R=-0.873)の相関があった.したがって,年平均気温が高ければ高いほど,赤の看板の割合が増加し,青の看板の割合が減少することが分かった.そして,年日照時間は,Y(yellow)の色相の割合と(R=0.821),PB(purple-blue)の割合と(R=-0.836)そして赤の色相のうちで,赤紫に近い2.5Rの色相の割合と(R=0.688),オレンジ色に近い10Rの色相の割合と(R=-0,699)の相関が認められた.年日照時間が長ければ長いほど,黄色に看板の割合が増加し,青い看板の割合が減る傾向にあり,赤い看板のうちでは赤紫に近い赤色の看板の割合が増えることが分かった。相対湿度は,彩度と(R=-0.617)の相関があった.したがって,相対湿度が高い都市は看板の低彩度傾向が示された.このような色彩の地域性は,今後調査を拡げ,具体的に検証する必要がある.色彩の地域性の研究は,都市景観色彩のマンセル表色系の数値にまで踏み込んだ規制のための資料として有益であると考えられる.
- 1995-03-23
著者
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飯島 祥二
Laboratory of Urban Engineering ,Okayama Shoka University
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飯島 祥二
Laboratory Of Urban Engineering Okayama Shoka University