幼児のふりにおける対象の知識と行為との関係の理解
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概要
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ふりが,ふりをする人の持つ心的表象(ふりをしたいという欲求,ふりの対象やプランに関する知識や思考や信念)に基づいて行われることを幼児は理解しているのだろうか。本研究では,様々な心的表象の中でもふりの対象の知識に焦点化し,検討を行った。実験1では,ふりの対象の知識の有無と行為との関係の理解を検討した。5-6歳児は,参加児にとって未知の対象を知っている他者はそのふりをできるが,知らない他者はふりをすることができないと答えた。一方,3-4歳児は,自分にとって未知の対象を知っている他者もまた,ふりをすることができないと答えた。実験2では,ふりの対象に関する知識内容(正しい知識か誤った知識)と行為との関係の理解を検討した。5-6歳児は,他者がふりの対象に関する知識内容(たとえそれが誤った知識であるとしても)に基づいて,そのふりをすること理解していたが,3-4歳児はそうではなかった。2つの実験結果から,5-6歳児はふりにおける対象に関する知識と行為との関係を理解していることが示された。一方,3-4歳児は自分自身の持つ対象に関する知識に縛られてしまうために,他者の知識に基づいて他者のふりを推測することができないことが示唆された。
- 日本発達心理学会の論文
- 2008-10-10