考古遺跡に残された洪水痕跡と降水量の関係
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概要
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考古遺跡において近代以降に形成された洪水痕跡と降水量の関係を明らかにする目的で,総務省集計の水害記録と,降水量などとの間で回帰分析による理論値を作成し,洪水痕跡形成年と比較した.遺跡データのもとになる発掘調査報告書は1980年以降に刊行されたものを対象にした.比較対象は6月〜9月の合計降水量と日降水量100mm以上となった日数の年合計値で,データは気象庁によった.水害データは日降水量100mm以上となった日数と関係が深いことが分かった.洪水痕跡形成年における理論値は,地域を大きく分けた場合,一致しない部分もあったが,地域を細かくみた場合や,空間的広がりを考慮した場合に,一定の整合性があることがわかった.江戸時代についても同様に分析した.今後,考古遺跡を過去における気象災害データとして活用していくために,遺跡データにおける均質性の向上と,洪水と関係する非気象学的要素の的確な評価が求められる.
- 2008-10-31