雌性型キュウリの種子生産量と発芽率に及ぼす硝酸銀誘起花粉の影響(繁殖・育苗)
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概要
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雌性型キュウリに硝酸銀濃度0,100,200,300,400,500ppmの葉面散布処理を行い,雄花の誘起効果を確認するとともに,誘起雄花が種子の生産性および発芽率に与える影響を検討した.硝酸銀処理による'ちび太郎'の雄花誘起効果は100ppm濃度以下では観察できなかったが,200〜500ppmの範囲では高濃度ほど高節位にまで雄花が着生し,1株当たりの雄花数が増加した.'ちび太郎'の誘起花粉を用いて'れんせい'と交配した結果,1果あたりの種子数は500ppm処理区で200および400ppm処理区より20〜40粒ほど多くなったが,処理濃度との間に直線的な関係は見られなかった.種子100粒重は500および200ppm処理区が他の処理区より低くなったが,その差は0.18g以下であり,収穫直後と保存8年後における発芽率に処理濃度による差は見られなかった.また,酢酸カーミン染色による'れんせい'と'夏笛2号'の誘起花粉の顕微鏡観察から硝酸銀処理濃度,特に1,700ppmの高濃度においても花粉稔性の低下は起こらないことを確認した.硝酸銀は雄花誘起効果が高くかつ花粉稔性,種子生産性および発芽率を低下させないことから,雌性型キュウリの種子生産に有効な成長調整物質であることが示された.
- 2008-10-15