床上安静中の入院患者の朝の生活の構造
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概要
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【目的】床上安静中の入院患者の朝の生活を構成する要素の抽出と構造化によって,朝の生活を記述する。また,朝の生活の特性を把握し,看護援助を検討する。【方法】整形外科疾患で床上安静中の入院患者11名を対象に,2006年7〜11月の間,早朝の生活場面に関して半構成的面接と参加観察を行なった。Grounded Theory Approachの継続比較分析を用いて,面接逐語録をコード化カテゴリー化し,カテゴリー間の関係を図式化して構造化した。【結果】対象者は平均62.3(26〜74)歳,女性9名・男性2名,大部屋5名・個室6名であった。対象となった入院患者11名の朝の生活は,意味,環境,ニーズ,行動,気分を表す6つのカテゴリーから構造化され,以下に全体像が記述された。床上安静中の入院患者の朝の生活は,【朝の生活の意味】という一日の生活に続く方向性を背景に展開された。入院患者は【覚醒後の環境変化】を感じながら過ごし,【関心とニーズの発生】によって【生活習慣行動と受ける援助】があったが,この行動は【生活状況の理解と待つ行為】によってできない場合と待った後にできる場合が存在した。その環境や行動・援助からの影響を受けて生じる気分の変動は新たな【関心とニーズの発生】につながり,循環しながら【気分の変動と一日にむかう気分】がもたらされていた。【考察】朝の生活の特性は,1)朝の生活は一日の生活に続いていく文脈の中で捉える,2)朝に生じるニーズに沿った生活行動,3)自然環境,心身の状態,生活行動,医療者などの行動抑制要因と気分変動要因の存在,4)一日の生活への意欲に関する現象の発生,である。朝の援助への示唆は,1)昼間の治療・療養行動促進にむけた準備状態をつくり出すという,健康の維持・回復につながる看護上の意義,2)援助内容は,朝のニーズを満たす内容に加えて,ストレスを増大させない気分転換や昼間の行動を促進させるような意欲に焦点をあてた内容を含めること,である。