中小企業の適正化と協業化をめぐって
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概要
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中小企業の適正化と協業化を、すぐさま直接考察の対象とするのではなく、それを一旦中小企業の組織化問題の中へ包括し、そして、また中小企業の適正化、組織化問題と言うことの内容を確定し、そこから協業化なるものを引き出すことにした。「中小企業基本法」が1999年の全面改正によれば、「中小企業」とは、(製造業(建設業運輸業含む)」で「資本の額又は出資の総額が3億円以下の会社及び固人」と規定されている。全国その数540万総事業所数の99.4%を占めている。また、これらの中小企業にどれだけの従業員が雇用されているのかと見てみると、民間で働く人々総従業員数の74.2%を雇用している。このように中小企業は量的に見るだけでも、経済活動に重要な位置を占めている。そして、これらの中小企業が日本経済に果たす役割についてみると、(1)経済成長や産業基盤を強化していくためには、大企業だけではなく、当然中小企業の役割が大きいこと。(2)多くの中小企業は大企業の補完的役割ではなく、むしろ、大企業になくてはならない存在になっていること。(3)技術革新の担い手として果たす役割は、欠くことのできないものになっていること。(4)地域経済の発展の担い手として、果たす役割も大きいこと。(5)雇用を創出する主体として、中小企業に対する期待が大きいこと。など、重要な役割を果たしている。しかし、ここにおいて、本稿が問いたいとするところは、これらを、適正化しさらに組織化することにある、凡そ、中小企業の組織化は、その内容において、二種類に大別される。すなわち、その一つは、中小企業における業界の調整とか、統制や規定に機能を果たすものであり、その二つ目は共同事業を中心とするものである。たとえば前者は商工組合に、そして、後者は事業協同組合に、それぞれの具体的な形態を見い出すことができるが、しかし、本稿で取上げようとする協業化は、二種類の組織化のうち比較的重要と判断される共同事業を中心とする、組織化に論点を集中させた。