ケンブリッジ大学出版社の『タッチストーン』シリーズにみる性の偏見
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
この研究では,英語教科書にみられるジェンダーバイアスの問題,例えば,女性の登場頻度の低さ,性差別表現,職業のステレオタイプなどについて提示している。これらの問題について従前から提示されている結果および新しいジェンダーバイアスの尺度,個性化(individuation)を提案する。次に,タッチストーンというシリーズの英語教科書をこれらの尺度を用い分析する。この教科書において,以前からの尺度と私の新しい尺度で,ジェンダーバイアスを見つけることや明らかにすることはできなかった。この結果から教科書を使う人々や一般的な学習者におけるジェンダーバイアスの暗示について三つの疑問が浮かんだ。1.ジェンダーバイアスがなくても,学生たちは教科書の中でジェンダーバイアスを感じたか。2.もしも教科書の中にジェンダーバイアスのたとえがはっきりあれば,学生たちはそれに気づくか。3.学生たちがジェンダーバイアスに気づけば,どう反応するか。以上の三つの疑問は,タッチストーンを使っている学生たちにアンケートを取ることによって調査した。結果は,彼らは教科書の中でジェンダーバイアスを見つけていない。バイアスがかかった文庫を見せたときにも,学生たちはあまり気づかず,反応は見られなかった。しかし,この結果は互いに干渉し合う原因が結果を混同させているので確定的ではない。