青年期の発達課題と作文教育についての1考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
著者は、文学の講義内容を文学作品鑑賞と作文教育の2本柱として設定した。著者の意図する「作文教育」は、与えられた課題について書くといった受身のものではない。それは次の内容の活動を指す。(1)学生が自己の生活のなかから課題を見つけ出す。(2)自己または他者に向かって自由に文章表現する。(3)作品を読み合い、自己も他者も共に学び交流する。この作文教育は、青年期の発達課題の重要な部分を占める他者理解・自己認識・自己表現と深くかかわるものである。また、学生の作文に対する「好き意識」「苦手意識]の背景には、過去の作文教育における肯定的な経験と否定的な経験が反映している。それらを実証するため、作文教育を次のように展開した。(1)自由に作文を書く時間を設定する。(2)作品のテーマ分析から見えてくる特徴をつかむ。(3)個々の作品を、集団で読み合う時間を設定する。(4)個々の作品から、教師も学生も共に学びあったことを交流する。最後に、実践の成果と問題点をまとめ、本稿の課題に迫った。