進行胃癌における胃型・腸型形質は予後に影響するか
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概要
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早期胃癌における形質発現(胃型・腸型)は近年癌発生機序からみた新たな分化の形態として検討されている.進行胃癌における形質発現の意義についての研究報告は少なく,我々は進行胃癌患者を対象として胃型・腸型胃癌に分類し, retrospectiveに臨床病理学的検討を行った.対象は胃癌に対し根治切除術を施行したstage II〜IIIBの胃癌患者66例である.摘出癌組織のパラフィン包埋切片を用いてMUC2・MUC5AC・MUC6・CD10に対する免疫染色を行いその染色性により胃型・腸型・混合型・分類不能の4群に分類し,胃癌の臨床病理所見や生存率との関連について検討した.対象中38例に関しては抗癌剤感受性試験を行い,形質発現との関連を調べた.形質発現と病理組織分化度や進行度との間に有意な関連を認めず,発現様式による生存率の差も認めなかった.抗癌剤感受性試験においても形質発現との関連を認めなかった.我々の検討から,進行癌では形質発現による分類は,従来用いられている病理組織分化度と比較し予後などの推測において意義が低いと結論された.また,抗癌剤感受性を判定するための一定の傾向を認めなかった.
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